仏事Q&A

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「無住所涅槃むじゅうしょねはん」とは、どういう意味ですか?

涅槃とは、サンスクリット語のニルバーナを音写した言葉です。 本来の意味は「火を吹き消した状態」です。 これが「煩悩をすべて消した状態」を意味するようになり、悟りの境地を涅槃というようになりました。 涅槃とは、すべての煩悩を吹き消した、心が静かな状態のことなのです。 

涅槃に至ることは、悟りの世界に入ることです。 そこは迷いの世界ではありません。 涅槃に至った心は、迷いの世界にはないのです。 しかし、そうした涅槃は真実の涅槃ではありません。 なぜなら、「悟りの世界・迷いの世界」という区別があるからです。 

真の涅槃には、その区別がないのです。 つまり、真の涅槃に至ると、その心はどこにも住まいがなくなるのです。 これを「無住所涅槃」というのです。 転勤や転校など、住まいが変わることはよくあることです。 その事情は様々ですが、移動した先で居場所がないと感じることはあるでしょうか? あるいは、転勤や転校などでなくても、居場所がないと感じてしまうことはあるでしょうか? 居場所がないということは、辛く寂しいことです。 しかし、居場所にこだわる必要はありません。 そもそも居場所などないのです。 真の涅槃に至れば、どんな場所にも住しないのです。 それは裏を返せば、すべての場所が居場所でもあるということなのです。 この世には心の居場所がありません。 しかしそれは、この世のすべてが心の居場所であることと同じなのです。 居場所がないのではなく、すべてがあなたの居場所なのです。

ご参考までに・・・。